泰輔の日記 ・ 2018年12月1日
百の手すさび展
早いものでMIHO MUSEUMにて開催されている「百の手すさび」展も、いよいよ明日までとなりました。
会期中は大変多くの方々にご覧いただき、展示も盛況となりました。展示に合わせて父・瓢阿の講演会、館長の熊倉功先生の講演会とあり、また先日24日には茶杓の一日講座がありまして、講師としてお邪魔しました。
遠路はるばるご参加いただきました皆様、ご来場いただきました皆様、誠に有難うございました。
今回の展示は、日本を牽引していた人達が茶の湯を楽しみお互いに交流していた時代を、特に各々手ずから作っていた茶杓に視点を置いて研究した成果だと思います。
近代数寄者の時代のピークは明治中期~昭和初期になると思いますが、その存在は大戦後暫くも続いていました。展示においても戦後活躍した数寄者茶人の存在とその茶杓が紹介されています。なので私が子供の頃、そういった方々の話はどこか身近で、その時代を知る人達が懐かしんで語る昔語りでした。
コレクションが纏められ美術館なり記念館になっていればまだしも、多くの数寄者茶人は、知る人が少なくなり忘れられる中で近代数寄者の時代そのものも忘れ去られつつあったのです。
今回の展示を見て私が強く感じたのは、近代数寄者の時代の時代が最早昔話ではなく、歴史となったということです。個々の逸話としてだけでなく、日本の中心となり先駆けとなっていた人達が茶の湯を通して繋がり影響しあって文化を盛り上げていたという歴史になったと。そしてそれを研究して纏めたのが、かつて益田鈍翁の職方として瓢阿の名を受けた初代の孫というところに何か運命的なものを感じずにはいられません。
研究は今後も続いて行きますが、現在とはまた違う近代の茶の湯の在り方とその意義を知る時、これからを生き茶の湯に携わる我々は大いに学ぶべきものがあるのではないでしょうか。
2018年12月1日 12:19 PM | Category:泰輔の日記