池田家のブログ

泰輔の日記 2019年6月5日

淡交6月号にて紹介されました。

裏千家の月刊茶道誌「淡交」では今年、「茶道具のいま、これから」として、毎月現代若手の茶道工芸作家を紹介する記事を掲載中です。

今月6月号では、竹芸家として私と私の作品の紹介、インタビュー記事が掲載されました。
「淡交」は流儀にかかわらず広く茶道関係者に読まれている茶道誌です。そこで大きく紹介していただけることは、茶道工芸に携わる者として大変光栄であり、また緊張もします。

丁度昨年日本橋三越にて「相伝展」を開催させていただいたところでもあり、来年は新宿柿傳ギャラリーにて初の個展を開催させていただく予定でもあり、竹芸家として益々精進して行く決意を更に強くする、大変有難い機会をいただいたと思います。
日頃よりお世話になっております皆様に、心より感謝するとともに、今後ともご指導をいただけますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

月刊「淡交」6月号は現在全国の書店にて販売中です。
ご覧いただけましたら幸いです。

2019年6月号表紙。写真は泰輔作「利休所持 桂川籠花入写」
2019年6月号表紙。写真は泰輔作「利休所持 桂川籠花入写」

お知らせ, 教室, 泰輔の日記 2019年3月29日

NHK文化センター川越教室 茶杓作り一日講座のお知らせ

昨年末から何かと慌ただしい日々を過ごしておりましたら、あっという間に春を迎え、あと数日もすれば新しい元号も発表されるそうで、過ぎる刻の速さというのは本当に恐ろしいものです。また久しぶりの更新になってしまいました。

もうだいぶ日程も近づいてしまいますが、4月6日、NHK文化センター川越教室様にて、茶杓一日講座をさせて頂ける事になりました。

茶杓削りの楽しみというのは、茶杓の魅力と共に奥深いものです。しかしその入り口はお茶をされていても人によって分かりにくかったり気付けなかったりします。一日講座というものが、その入り口に立つ助けになれますようにと、いつも心がけてとりくませていただいております。

NHK川越教室様で茶杓教室をさせていただけるのは3年ぶりになります。茶杓に興味のあるお近くの方は、是非ふるってご参加下さい♪

NHK文化センター川越教室様リンクhttp://www.nhk-cul.co.jp/school/kawagoe/


泰輔の日記 2018年12月1日

百の手すさび展

早いものでMIHO MUSEUMにて開催されている「百の手すさび」展も、いよいよ明日までとなりました。

会期中は大変多くの方々にご覧いただき、展示も盛況となりました。展示に合わせて父・瓢阿の講演会、館長の熊倉功先生の講演会とあり、また先日24日には茶杓の一日講座がありまして、講師としてお邪魔しました。

遠路はるばるご参加いただきました皆様、ご来場いただきました皆様、誠に有難うございました。

 

今回の展示は、日本を牽引していた人達が茶の湯を楽しみお互いに交流していた時代を、特に各々手ずから作っていた茶杓に視点を置いて研究した成果だと思います。

近代数寄者の時代のピークは明治中期~昭和初期になると思いますが、その存在は大戦後暫くも続いていました。展示においても戦後活躍した数寄者茶人の存在とその茶杓が紹介されています。なので私が子供の頃、そういった方々の話はどこか身近で、その時代を知る人達が懐かしんで語る昔語りでした。

コレクションが纏められ美術館なり記念館になっていればまだしも、多くの数寄者茶人は、知る人が少なくなり忘れられる中で近代数寄者の時代そのものも忘れ去られつつあったのです。

今回の展示を見て私が強く感じたのは、近代数寄者の時代の時代が最早昔話ではなく、歴史となったということです。個々の逸話としてだけでなく、日本の中心となり先駆けとなっていた人達が茶の湯を通して繋がり影響しあって文化を盛り上げていたという歴史になったと。そしてそれを研究して纏めたのが、かつて益田鈍翁の職方として瓢阿の名を受けた初代の孫というところに何か運命的なものを感じずにはいられません。

研究は今後も続いて行きますが、現在とはまた違う近代の茶の湯の在り方とその意義を知る時、これからを生き茶の湯に携わる我々は大いに学ぶべきものがあるのではないでしょうか。

展示された茶杓の原寸大の写真も美しい図録。淡交社刊 2,778円+税

 


泰輔の日記 2018年11月18日

ご来席有難うございました。

先日10月31日、根津美術館でのお茶会は無事終えることができました。

当日は天候にも恵まれ、庭園も少し秋の彩りを装いつつある中、約100名様のお客様を迎えることができました。

お陰様で全体を通して穏やかで明るい一日となりました。今年の風炉、名残り最後の日に相応しい席になったと思います。とにかく無事つとめることができましてほっとしております。

色々大変なこともありましたが、根津美術館で席を持てるなんてなかなか無い機会。無事終わってみると感慨もひとしおです。

ご来場いただきました皆様、誠に有難うございました。また、今回もお点前と御水屋では、即日庵の先生方に大変にご助力いただきました。改めて御礼申し上げます。

 

……記念写真を撮る余裕がなかったのがちょっと残念(^^;でも炭がはぜなくてよかった~

 


お知らせ, 泰輔の日記 2018年10月25日

「百のてすさび」展 -近代の茶杓と数寄者往来ー

今月20日から12月2日まで、滋賀県信楽にあるMIHO MUSEUMにて、「百の手すさび」展が開催されています。

明治維新後、日本の政財界をリードした名だたる実業家達は、茶の湯に親しみ、多くの美術品・茶の湯の名品を蒐集しました。

そして数寄者としての交流を深めるため、盛んに茶会や茶事を催し、互いに茶杓を削り、贈り合ったのです。

この展覧会では、近代の政財界・文化人・芸術家その他各界の著名人が作った茶杓を中心に紹介し、そこから見える茶人たちの美意識、人柄やその軌跡、近代に花開いた数寄者達による茶の湯の世界に迫ります。

この展覧会は父である瓢阿が監修をさせていただいておりますが、これほど近代の茶杓にフォーカスをあて、かつ大規模に開催される展覧会は未だかつて無いのではないでしょうか。「近代の茶杓」は父の茶杓研究の中でも重要なテーマの一つですので、その成果の一端をご覧いただけると思います。

丁度紅葉も美しい季節、景色も楽しみながら是非ご来館下さい。

 

百の手すさび ー近代の茶杓と数寄者往来ー

会場 MIHO MUSEUM

会期 2018年10月20日 – 2018年12月2日(月曜休館)
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)

関連プログラム
講演会
茶杓について(仮称)
講師:池田瓢阿(本展監修者)
日時:11月10日(土)14:00~15:30
会場:南レクチャーホール
定員:100名
予約不要:当日美術館棟受付にて整理券配布
参加無料(入館料要)
講演会
近代数寄者とは(仮称)
講師:熊倉功夫(当館館長)
日時:11月17日(土)14:00~15:30
会場:南レクチャーホール
定員:100名
予約不要:当日美術館棟受付にて整理券配布
参加無料(入館料要)

 

尚、展示の中に映像コーナーもあり、私が茶杓を削る動画も上映されております。ご覧いただけましたら幸いです。


お知らせ, 泰輔の日記 2018年10月24日

炭を洗いました

今度根津美術館内の庭園の茶室、被錦斎にて父が一席薄茶席を持つことになりましたので、準備をしています。

毎年根津美術館で開催される「現代茶人の茶席」の一環で、10月31日に担当することになりました。名残も名残、今年の風炉の最終日ですね。

というわけで準備のために炭を洗いました。盥に水を張りつつ流水で、亀の子たわしを使って優しく洗うんですが、結構集中できて楽しい作業です。

洗った炭は縦にして数日乾かします。ちゃんと洗えてるといいけど…席中ではぜませんように(-人-)

洗った炭の一部


泰輔の日記 2018年9月27日

なごみ9月号に掲載されました

過酷な暑さだった夏も過ぎ、あっという間に秋雨の季節となりました。

急に肌寒さすら感じる気候になりましたがいかがおすごしでしょうか。

現在淡交社様より発刊されております「なごみ」9月号の特集記事、

「茶杓の美しさとは」に関わらせていただきました。

この記事では茶杓の魅力や歴史、鑑賞のポイント、茶杓作りの様子等が豊富な写真と様々な分野のゲストを交えながら紹介されているのですが、

父・瓢阿が茶杓の鑑賞のポイントを名杓の紹介とともに解説し、茶杓作りの様子をお見せしています。(p.18~p.29)

私も各時代の茶杓の特徴の変遷を追いながら茶杓の歴史を紹介する頁で、文章の監修とイラストを担当させていただきました。(p.36~p.39)

茶杓というお道具に、より深く興味を持っていただけるような特集となっておりますので、是非手に取ってご覧下さい。

なごみ9月号の表紙。写真の手は瓢阿。


泰輔の日記 2018年5月30日

相伝展無事終了いたしました

おかげさまで昨日、池田瓢阿・池田泰輔「相伝展」は無事終了いたしました。

会期中は沢山のお客様にご来場いただき、大変賑やかな会となりました。ご来場いただきました皆様、お呈茶席を設けていただきました先生方、お世話になりました皆様、三越特選美術画廊様、誠に有難うございました。

会の中で久しぶりにお会い出来た方もあり、また思いがけない出会いもあったりで、得難い機会となりました。

これからまた制作を進めていきます中で、学び、技術を高めていきまして、父のあとを継げますよう、より一層精進いたします。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。


お知らせ, 展示会, 泰輔の日記 2018年4月25日

池田瓢阿・池田泰輔「相伝展」のお知らせ

春も盛りを過ぎ、初夏を思わせるような陽気の今日このごろ、いかがおすごしでしょうか。
此度、日本橋三越特選美術画廊様にて、池田瓢阿・池田泰輔「相伝展」を開催することとなりました。
籠花入、炭斗、竹花入、茶杓等、父子合わせて100点あまりの作品展示をいたします。
我が家の制作活動の中に於いて、時代の名物籠の写しを能くするということは大切な”芯”となっております。今回、名物籠の写しの制作の許しと伝授を、私泰輔が受けることとなりましたため、「相伝展」と銘打たたせていただきました。
初めて取り組む名物籠の写しの制作には学ぶことも多く、責任の重さも強く感じます。まだまだ未熟者でございますが、一生懸命に臨みました成果を、皆様にご高覧いただけましたら幸いです。
 

池田瓢阿・池田泰輔「相伝展」
会場:日本橋三越本館6階特選美術画廊
開催日時:平成30年5月23日㈬~29日㈫午前10時~19時(最終日は17時迄)


泰輔の日記 2017年12月14日

忠臣蔵と籠花入

今日12月14日は赤穂浪士討ち入りの日として知られています。

元禄15年12月14日(15日未明)、江戸・吉良上野介上屋敷に大石内蔵助を筆頭とする赤穂浪士の討ち入りがあり、自らの主君浅野内匠頭の仇と目する吉良上野介を討ち取ったこの事件は様々な逸話や人間模様に富み、歌舞伎や文楽、映画やドラマの題材となって広く親しまれています。

その様々な逸話の中でも、籠師として外せないものは、浪士達が本懐を遂げ泉岳寺にある主君の墓前まで行進する際、途中首級の奪還を避けるため吉良邸の茶室にあった桂川籠花入を風呂敷に包んで槍の先に下げ、身代わりにしたというくだりです。

この逸話からうかがえる重要な事実。それは

真冬の茶会に和物の籠花入れが使われている

ということです。現代一般的には、和物の籠花入は炉の季節にあまり用いられておりません。ざんぐりと編まれた風情が涼を感じさせるから、というのがよく言われる理由です。唐物籠花入については炉・風炉共に用いられています。

ところが忠臣蔵のこの逸話は、炉の季節しかも雪の降るような真冬に和物籠花入の名品たる桂川籠が用いられていたことを示しています。

何故なのか。それは本来、和物の籠花入の使用を風炉の時期に限るなんて決まりは無かったからです。遡れば松屋会記等古い時代の記録にも炉の時期に和物籠花入が使われていた記述があり、少なくとも江戸時代中頃まではそれが普通であったことが分かります。何時誰が和物籠花入の使用に制限を与えたのかは定かではありませんが、それがわりあい新しく加えられた概念であることは間違いありません。

ここで私が申し上げたいのは、そんな既成概念に囚われず、席主の感性と客への心入れによって道具を選び、楽しんで使っていただきたいということです。そして是非、炉の時期にも籠の御道具を積極的に使っていただきたいと、一人の籠師として切に願います。


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